簡単に言えば「調理にとても手間がかかっていた」というのが大きな理由です。 わたしは、定員数が約50 名の施設から、約65名の施設、そして約180名の施設を運営した経験があります。 施設では、食材の仕入れを、いくつもの業者様から購入していました。 調理をする専門技術を持ったスタッフが、仕入れから調理までのすべてを行っていたのですが、調理員の個性によって、仕入れのコストに差が出ていました。 こういった厨房費用の偏りを解消したいと常々思っていたのです。 調理員の個性は、料理の面でも影響していて、味付けの面でも差が生じていました。 その他、もし調理員が急遽不在になった場合、食事の提供が遅延したり、止まってしまうのではないか?という不安要素が常にありました。
もちろんありました。まず、味ですね。 手作りと違って味がおちるのではないか?という部分はとても心配でした。しかし、管理栄養士の元で作られた完全調理品は、健康的でありながら大変美味しく、しかも毎日異なる献立が提供されるのでとても満足しています。 もうひとつ不安だったのが、完全調理品を用いたオペレーションが、うちの厨房システムで動くのかどうか?という点ですね。 しかし、現在は外国人のスタッフも含め、調理未経験者の方でも問題なく作業がおこなえています。 実はこれらの事は、新型コロナウイルス感染症における厨房運営にも大いに役立ちました。 例えば厨房スタッフが、濃厚接触者の疑いがあり勤務できなくなった場合でも、今までならお弁当を提供する事で給食停止という最悪の危機を回避していたのですが、それもお弁当を作る業者様が休業してしまえば、「給食が止まる」ということになり兼ねませんでした。 しかし、完全調理品の場合、事務部やリハビリ部など、他部署のスタッフでも給食を調理するという事が出来るので、仮に厨房スタッフが勤務出来ない事態になったとしても、「給食が止まる」という危機がなくなったのは大きな安心だと言えます。
今後起こりうる、人手不足。さらには人件費や材料費の高騰。継続する少子高齢化などの未来を見据えると、完全調理済み食材は時代にあった商品ではないかと思います。